大豆田とわ子と三人の元夫(ドラマ)

深夜の時間帯に、放送中の連続ドラマがよく再放送されていますが、先日たまたま目にしたのが、松たか子さん主演の『大豆田とわ子と三人の元夫』第4話でした。(放送は6月で終了)

ストーリーは、バツ3の大豆田とわ子の日常を通して、家族、恋愛、仕事、友情をコミカルに描いたものですが、決して浮ついた内容ではなく、しっとりと鑑賞できるドラマでした。

伊藤沙莉さんのハスキーなナレーション、「今週の大豆田とわ子は、‥‥」で始まるドラマは、友達からの近況報告を聞いているかのようで、主人公に感情移入がしやすかったです。

このドラマは、キャスティング、脚本(坂元裕二*1)、演出が上手くマッチした作品だと思います。

面倒くさいな〜、と思いながらも、3人の元夫たちといまだに交流があるという、ほんの少し現実離れした設定ですが、出演者全員の演技が素晴らしいので、途中からでしたが、違和感なく、最終回まで楽しめました。

特に絶妙なキャスティングだと思ったのが、2番目の元夫・佐藤鹿太郎を演じた、お笑いトリオ東京03の角田晃広さんです。
角田さんのリアルな存在感が、ドラマの世界と現実の世界(視聴者)との繋ぎ役をしているので、すんなりと登場人物たちを受け入れることができました。(佐藤鹿太郎のようなタイプの人は、身近に1人くらい居そうですよね。)

とわ子が娘のボーイフレンドに、自身の失言を詫びるために、謝罪の仕方を佐藤元夫2(角田さん)から教えて貰うシーンがあるのですが、その謝罪の仕方にリアリティがあり、現実社会における社会人の大変さがよく表現されていて、共感が持てました。

主演の松たか子さんのお芝居もとても自然で、最終回、とわ子の母が好きだったという人物から、家族に対する生前の母の思いを聞き、無意識に涙がこぼれ落ちるシーンがあるのですが、いつの間にか感情移入をしていたらしく、私も一緒に涙してしまいました。松たか子さん、スゴイ!です。

また、この回で、とわ子の母が好きだった相手を演じた、風吹ジュンさんのお芝居も良かったです。
とわ子の母との関係を尋ねられた時、生々しくも綺麗すぎることもなく、ごく普通のことのように語るこのシーンは、この後のとわ子の涙に繋がっていくのですが、ジンワリとくるとても良いシーンでした。

一語で言うと、おもしろいドラマでした。
オモシロオカシイという意味ではなく、カテゴリとしては、コメディドラマなのでしょうが、小春日和のような温かさがあり、じんわりと心に染みるドラマでした。おそらく、登場人物が良い人たちばかりだからだと思います。

最近は、脚本やキャスティングが、ちょっと残念なドラマが多いなと感じていたのですが、久しぶりに、良質なドラマに巡り会えました。

この次は、どんな素敵なドラマに出会えるでしょうか。楽しみです。

追記
エンディングの曲と映像(毎回変わるエンディング)も良かったです。
とわ子と三人の元夫が、毎回1人ずつ出てきて、街を彷徨い歩くのですが、本編とはまた違う大人の雰囲気が醸し出されていて、ドラマとは別のショートムービーを観ているようでした。皆さん非常に艶っぽかっです。ちょっとドキドキしちゃいました。

*1:坂元裕二氏の作品:東京ラブストーリー、Mother、Woman、問題のあるレストラン、最高の離婚、カルテットなど、他多数

花鳥風月

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