更新:2021年12月20日

24節気の暦では、12月7日から大雪に入り、本格的な冬の季節到来となりました。
漢方では、冬の期間(11月〜1月)を閉蔵と言い、寒さによるエネルギー消耗を避け、春に向けてのエネルギーを蓄える季節としています。
冬の寒さにより、体が冷えることで、血の循環が悪くなり、体調を崩しやすくなります。
エアコンをかけて暖かい室内であっても、空気を循環していないと、寒い空気が足元に溜り、冷気の影響をうけやすくなりますので、サーキュレーターで空気を循環させるか、衣服や食事などで、体を温めるようにしましょう。

この季節には『鍋』という、手間をかけずに体を温められる、素晴らしい料理がありますので、積極的に活用するのもよいですね。

いまは、バラエティに富んだ鍋の素がお店の棚に並んでいるので、飽きることなく、家庭鍋を堪能することができます。また、鍋の具材も、定番の食材だけでなく、自分の好きな食材を選べて作れるのが、家庭鍋の醍醐味ではないでしょうか。

今回は鍋の具材にもなる、冬が旬の食材を紹介します。

おいしい漢方 大根の巻

通年野菜と思われがちの大根ですが、実は冬野菜です。
ほぼ水分で構成されていると言っても過言でないほど水分量が豊富で、生でも加熱してもよく、味が淡白なので、さまさまな食材と相性がよいのが特徴です。
漢方では消食類に分類される大根は、消化を促進する作用*1があり、胃もたれ、消化不良などの食積や嘔吐などを解消します。消化酵素のジアスターゼ(アミラーゼ)の名前を、一度は聞いた事があるのではないでしょうか。
また、「涼」*2の性質により、体の余分な熱を取り、消炎、鎮静作用があるので、咳、のど、鼻などの炎症を和らげます。

さて、調理方法を選ばない大根ですが、ご家庭では、どの様にして食されていますか?
生なら、サラダ、大根おろし、漬物にしても良いですね。
煮物であれば、ブリ大根、ふろふき大根、おでん。茹でるならば、みそ田楽もいいですね。
肉や他の野菜と炊き合わせても美味しいそうです。少々脇役感が強くなりますが、すりおろした大根で、みそれ鍋という手もあります。


我が家は、大根と豚バラ、生姜の千切りを炒め、オイスターソースと隠し味に醤油を少々入れて味付けした大根の定番料理があります。母がよく作ってくれていました。
生姜は体を温める食材ですので、この季節には積極的に摂りたい食材ですね。また、豚肉に含まれるビタミンB1は疲労回復効果がありますので、寒さで消耗した体力回復にはもってこいではないでしょうか。

見た目が茶色なのでおいしそうに見えませんが、実は…美味しいんです。

冬の大根は、甘味があり美味しいので、ぜひ今日の一品として食卓に上げたいものです。
食材として強い主張はあまりありませんが、他の具材と一緒に調理することで、旨味を大根自体に染み込ませ、美味しい食材へと昇華する野菜としては、ダントツではないでしょうか。

*1:大根の成分であるジアスターゼ(アミラーゼ)は、熱に弱いので、消化促進を目的として食する場合は、生で採るのが一番効果的です。
*2:漢方では、生薬、食材の性質(食性)を、「熱」・「温」・「平」・「涼」・「寒」の5つに分けています。