居宅サービスは、訪問や施設などを利用しながら、住み慣れた居宅での自立した日常生活を維持することを目的とした介護サービスです。
居宅サービスには、訪問、通所、短期入所の種類があります。

訪問サービス

訪問介護

介護職員(ホームヘルパー)や介護福祉士が居宅を訪問し、利用者の自立生活を支援します。
食事・排泄・入浴などの身体介護や、掃除・洗濯・買い物・調理などの生活援助が主な支援内容です。それ以外に通院時の介助サービスをしている事業所などもあります。
対象となる介護認定区分:要介護1~5

訪問介護では、以下のようなサービスの提供はしていません。
・家族のための家事、来客の対応などのような、利用者の援助に該当しないサービス
・草むしり、ペットの世話、大掃除などのような、日常生活の援助の範囲を超えるサービス

《プチ情報》
なお、要支援1・2の場合は、介護予防を目的とした「介護予防訪問介護」が利用できます。

訪問入浴介護

介護職員(2名)と看護師(1名)が居宅を訪問し、持参した浴槽で利用者の入浴を介助または介護します。入浴の前後には、看護師による、バイタルチェック(検温、脈拍、心拍数、血圧、酸素飽和度など)があり、利用者の体調に合わせて、入浴、清拭を行います。
入浴することで、体の清潔が保たれ、褥瘡(じょくそう)/床ずれ予防や便秘の解消になり、また、体が温まることでリラックスできるなど、心身機能の維持回復も図れます。
対象となる介護認定区分:要支援1・2、または要介護1~5

訪問看護

主治医と連携した看護師が居宅を訪問し、主治医の指示に基づいて、利用者の心身機能の回復や維持に努め、安心して療養生活を送れるように支援します。
対象となる介護認定区分:要支援1・2、または要介護1~5

訪問看護には、以下のようなサービスがあります。
・ 健康状態の観察:バイタルチェック(検温、脈拍、心拍数、血圧、酸素飽和度など)
・ 療養生活のサポート:食事・入浴(清拭も含む)・排泄の介助
・ 医療処置(医師の指示に基づく)や医療機器の管理:カテーテル管理、点滴、注射、痰の吸引、
  褥瘡(じょくそう)の処理、在宅酸素・人工呼吸器などの管理、排泄管理など、医療行為と
  されるもの
薬の相談および指導
・ 在宅でのリハビリテーション:拘縮予防、機能訓練、筋力低下予防
・ 終末期の看護
・ 認知症などのケア

訪問リハビリテーション

利用者の心身機能の回復や維持、日常生活の自立支援を目的とし、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが居宅を訪問して、主治医の指示のもとリハビリテーションを行います。
対象となる介護認定区分:要支援1・2、または要介護1~5

次に該当する方が、訪問リハビリテーションサービスを受けられます。
・ 要介護認定を受けている(要介護1~5)
・ 主治医、またはかかりつけ医が、訪問リハビリテーションが必要と診断した場合
・ 要支援認定を受けている(要介護1~2)の場合は、介護予防訪問リハビリテーションの利用

また、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は、それぞれ支援できるサービスが異なります。
◆理学療法士:主に身体的なサポート
 運動療法や物理療法を用いて、基本的な運動能力の回復、身体機能の改善を図ります。
 筋力トレーニング、関節硬化を防ぐための関節可動域訓練など
◆作業療法士:身体と心のサポート
 日常生活における応用的動作と社会適応のための能力を身体と心の両面からサポートし、その回復
 を図ります。
 食事、料理、入浴、着替え、排泄から趣味やスポーツ、地域活動などの日常生活全般における動作
 など
言語聴覚士:コミュニケーションのサポート
 言語や聴覚などの機能障害の改善や維持、あるいは、その代わりとなるような訓練を行います。
 さらに医師や歯科医師の指示のもと、人口内耳の調整や嚥下障害の訓練指導も行います。

通所サービス

通所介護

利用者の自立生活の支援や心身機能の維持、および家族の介護負担軽減などを目的としています。
日中、デイサービスと呼ばれる施設(定員20名以上)に送迎車で通い、食事、入浴、レクリエーション、リハビリテーションを行います。また、施設では、グループ活動など利用者同士の交流もあり、居宅生活における孤独感の解消にもなります。
対象となる介護認定区分:要介護1~5

《プチ情報》
なお、要支援1・2の場合は、介護予防を目的とした「介護予防通所介護」が利用できます。

通所リハビリテーション

利用者の自立生活の支援や心身機能の維持、および家族の介護負担軽減などを目的としています。
日中、デイケアと呼ばれる、医療機関や老健(介護老人保健施設)、介護医療院が運営している施設に送迎車で通い、医師の指示のもと、リハビリ専門のスタッフからリハビリテーションを受けることができます。
対象となる介護認定区分:要支援1・2、または要介護1~5

短期入所サービス

短期入所生活介護

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などにて、一定期間(数日~最大30日まで)、利用者を受け入れ、身体介護(食事・入浴など)や機能訓練などを提供します。
対象となる介護認定区分:要支援1・2、または要介護1~5

以下の条件に該当する場合、利用可能です。
・ 利用者の心身の状況や病状が悪い場合
・ 家族(介護者)の疾病、冠婚葬祭、出張
・ 家族(介護者)の身体的・精神的負担の軽減 など

短期入所療養介護

介護老人保健施設、老人病院などの医療施設にて、一定期間(数日~最大30日まで)、利用者を受け入れ、医療管理のもと、身体介護(食事・入浴など)や医療、看護、機能訓練などを提供します。
対象となる介護認定区分:要支援1・2、または要介護1~5

以下の条件に該当する場合、利用可能です。
・ 利用者の心身の状況や病状が悪い場合
・ 家族(介護者)の疾病、冠婚葬祭、出張
・ 家族(介護者)の身体的・精神的負担の軽減 など

その他サービス

居宅介護支援

ケアマネージャーが、利用者やその家族の希望を考慮しながら、利用者の心身および生活環境に沿ったケアプランを作成し、サービスを提供する事業所等との連絡、調整を行うサービスです。
それ以外に、要介護認定(要支援の認定を含む)の申請代行も行います。
対象となる介護認定区分:要介護1~5

《プチ情報》
なお、要支援1・2の場合は、介護予防を目的とした「介護予防支援」が利用できます。
ケアプランの作成は、地域包括支援センターが行いますが、居宅介護支援事業所に業務委託をしている場合もあります。

福祉用具貸与

利用者が居宅において、自立した日常生活を送るために、福祉用具の利用を介護保険で支援するサービスです。
生活環境や利用者の要望に沿った福祉用具(以下の13品目)が介護保険でレンタル/リースできます。
介護認定区分によって、利用できる用具が異なります。
要支援1・2、または要介護1:手すり/スロープ/歩行器/歩行補助杖の4品目のみ利用可
要介護2・3:自動排泄処理装置を除く、12品目利用可
要介護4・5:全13品目利用可

・ 手すり
・ スロープ
・ 歩行器
・ 歩行補助杖
・ 車いす
・ 車いす付属品
・ 特殊寝台
・ 特殊寝台付属品
・ 床ずれ防止用具
・ 体位変換器
・ 移動用リフト(つり具の部分を除く)
・ 認知症老人徘徊感知機器
・ 自動排泄処理装置

《プチ情報》
例外として、腰掛便座等などのような、貸与になじまない性質のもの(他人が使用したものを再利用することに心理的抵抗感が伴うもの)は、特定福祉用具販売とし、保険給付の対象としています。(年間10万円限度)

特定福祉用具販売

貸与に適さない(他人が使用したものを再利用することに抵抗感がある)福祉用具を、介護保険を利用して購入できるサービスです。
対象となる介護認定区分:要介護1~5
*要支援1・2の場合は、特定介護予防福祉用具販売のサービスになります。

以下の5品目が特定福祉用具となります。
・ 腰掛便座 
・ 特殊尿器(自動排泄処理装置交換可能部分) 
・ 入浴補助用具(入浴用椅子・浴そう用手すり・入浴台・浴室用すのこ・浴そう内すのこ) 
・ 簡易浴槽(空気式、折りたたみ式等で、取水または排水の為の工事を伴わないもの) 
・ 移動用リフト吊り具(身体に適合するもので、移動用リフトに連結可能なもの)

住宅改修

介護を受ける、または介護をするために、住んでいる住宅を改修する場合、次の1~6に該当する改修工事に限り、掛かった費用の一部が給付されます。
支給限度基準額は、20万円まで(原則1回限り)で、介護保険負担割合証の割合に基づき、利用者負担額を差し引いた金額が、介護保険から支給されます。なお、支給限度基準額を超えた部分の費用は、自己負担となります。
対象となる介護認定区分:要支援1・2、または要介護1~5

支給対象となる工事
1. 手すりの取付け
2. 段差の解消(玄関上がり框に踏み台を設置、敷居の撤去、スロープの設置)
3. 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
4. 引き戸等への扉の取替えやドアノブの変更
5. 洋式便器等への便器の取替え
6. その他1から5の各工事に付帯して必要となる工事

支給額の例
改修費用が20万円の場合の支給額
・介護保険負担割合証(1割負担): 18万円
・介護保険負担割合証(2割負担): 16万円
・介護保険負担割合証(3割負担): 14万円
改修費用が10万円の場合の支給額
・介護保険負担割合証(1割負担): 9万円
・介護保険負担割合証(2割負担): 8万円
・介護保険負担割合証(3割負担): 7万円

《プチ情報》
被保険者証に記載されている住所の住宅のみが対象です。
工事前の事前申請が必要となります。
原則1回限りですが、転居したり、要介護状態区分が重くなった(3段階上昇時 )場合は、再度20万円までの支給限度基準額が設定されます。

居宅療養管理指導

通院することが困難な利用者が、居宅にて、医師や看護師などから、健康管理や指導、助言を受け、療養生活の向上を図るために往診介護を受けるサービスです。
以下の介護認定区分の方が、対象となります。
・ 要介護1~5に認定されている65歳以上の高齢者
・ 全16種類の特定疾病のいずれかにより、要介護認定を受けた40歳~64歳の介護保険加入者

なお、要支援1~2の認定者には、介護予防居宅療養管理指導が適用されます。