ギャッチアップ(column3)ポジショニング(column5)のコラムで、体位変換について軽く触れましたが、今回はもう少し詳しくお話し致します。

介護をする上で、体位変換という言葉を耳にしますが、体位変換はなぜ必要なのでしょうか。
体位変換は、主に次の点を目的として行われます。

• 褥瘡(じょくそう)*1予防
• 拘縮防止
• 血流促進
 

通常、人は就寝中、15〜20分の間隔で寝返りをうつことで、血流が滞留するのを防いでいるそうなのですが、寝たきりなどで、自ら寝返りを打てない場合は、介助者にサポートをしてもらい、血流の滞留を防がなくてはなりません。この作業を怠りますと、皮膚が圧迫された状態が続き、褥瘡(じょくそう)*1になりやすくなります。
また、長い時間同じ姿勢でいることで、関節が固まりやすくなり、拘縮の原因にもなります。
そして、血流の滞留で、体内に水分が溜まり、浮腫(むくみ)の原因にもなります。
それ故、介護を受ける方を守る上で、体位変換は必要不可欠なのです。

*1:褥瘡(じょくそう)は、床ずれのことです。

では、体位変換は、いつおこなえばよいのでしょうか。

基本的には、2時間おきに行うことが推奨されていますが、介護を受ける方の健康状態が良ければ、キッチリ2時間おきではなく、2〜4時間位の幅を持たせても良いと思います。
我が家は、1日8~9回程の体位変換をします。深夜の1時から始まり、最終は22時です。平均して約2.5時間でしょうか。また、体位変換と併せて、オムツ替えもしています。
2015年から完全介護をしていますが、この間隔で、トラブルもなく過ごしていますので、体位変換のタイミングについては、ご家族で一度検討されてみるのも良いと思います。

体位の種類について、簡単に知っておきましょう。
体位の種類は、大きく分けて3パターンあります。寝たきり介護の場合は、自立
◆臥位(寝ている状態):仰向け(仰臥位)、横向き(側臥位)*2、うつ伏せ(伏臥位)があります。
◆座位(座っている状態):半座位(仰向けと長座位の中間で、ギャッチアップの角度は40~60度ほど)、長座位(上体がベットに対して垂直で、足がまっすぐ伸びた状態)、端座位(ベッドの端に腰かけて、脚が床についた状態)があります。
◆立位(立っている状態):寝たきりの場合は、該当しないので、説明は割愛致します。

*2:横向きには、ベッドに対して90度の真横の体位以外に、半側臥位(90度より小さい角度)の体位もあります。
   角度については、介護を受ける方の状態によって異なりますので、専門家の指示を必ず受けて下さい。

そして、体位変換の行い方および注意点です。

事前に体位変換のレクチャーを受けてから行う。
専門家(医師、看護師、理学療法士、作業療法士など)からレクチャーを受けて下さい。
独自学習で体位変換を行うことは、介護を受ける方にとってケガのもとになります。
体位変換は、力任せに行わない。
介護を受ける方にとって、力任せに行う無理な体位変換は痛みを伴いますので、介護者は、焦らず丁寧に体位変換を行ってください。
内力を上手く利用する。
介護を受けられる方の体重移動を利用し、最小限の力で、体位変換をします。文字では伝わりづらいので、ネット上の動画などで確認して頂くと、よくわかると思います。
皮膚の摩擦を最小限に抑える。
寝ている位置がなるべくベッドの中央になるように、左右(側臥位)の体位変換時には、体を上方向や左右どちらかの方向に少し移動しますが、このときに皮膚がよれないように、気をつけて移動を行います。
座位にする場合、ギャッチアップを行いますが、足元→上体の順にベッドを上げて、お尻がベッドにずり込まないようにします。座位への体位変換が終了したら、背中の圧抜きを忘れずに行います。
• 体位変換時には、衣類やシーツのシワを伸ばして、皮膚への負担を軽減します。高齢になりますと、皮膚が弱くなってきますので、ちょっとしたシワでも皮膚への負担が大きくなります。

このように書き出すと、体位変換は大変なことのように思われるかもしれませんが、経験を積んで行くと、さほど難しいことではありませんし、神経質になる必要もありません。
例えば、シワなどは、体位変換を行っていると、どうしてもできてしまいます。すべてのシワを伸ばそうとせず、皮膚があたるところだけ、軽くシワを伸ばせばよいのです。
また、ギャッチアップなどは、ボタン1つで、連動して動くベッドを使用することで、介護者が気を遣わずに簡単に上げ下げができます。

ポイントは、介護を受ける方の体重移動を上手に利用して、最小限の力で、優しい体位変換を行うことです。

更新:2022年1月5日